顎関節症の種類
顎関節症にも種類があることをご存知ですか?
・I型(咀嚼筋痛障害)
・II型(顎関節痛障害)
・III型(顎関節円板障害)
・IIIa(復位性)
・IIIb(非復位性)
・IV型(変形性顎関節症)
この4型が日本顎関節学会の「
顎関節症治療の指針2025」に掲載されています。
これに加えて以前は、
・V型(その他)
があり、臨床的には未だに使用されることは多いのですが、顎関節症はあくまでも顎関節や咀嚼筋の障害であって、原因不明の「顎の症状」は顎関節症ではないとの考え方から、ガイドラインでは削除されています。
顎関節症各型ごとの特徴
I型(咀嚼筋痛障害)
いわゆる「咀嚼筋」と呼ばれる筋肉には①咬筋、②側頭筋、③内側翼突筋、④外側翼突筋の4種類があり、顎関節の制御はこの4対8本の筋肉を主としていますが、さらに顎二腹筋や胸鎖乳突筋なども加わって複雑な運動をおこなっています。
これらの筋肉が凝ってしまって痛むことをI型顎関節症と言います。
痛みの強い時期は鎮痛薬を、痛みが弱まっていればマウスピースによる咬合負荷の軽減を図りつつ、咀嚼筋のマッサージやストレッチ、温罨法を行い、筋肉の血流を増やしたり、筋肉の柔軟性を高めます。
II型(顎関節痛障害)
これも痛みの強い時期は鎮痛薬を、痛みが弱まっていればマウスピースによる咬合負荷の軽減を図りつつ、開口訓練を行って顎関節の可動域を回復させます。
IIIa型(復位性顎関節円板障害)
顎を開け閉めする時に「コリッ」という音(クリッキング)があります。
基本的に経過観察で問題はありません。顎を守ろうと口を開けずにいると、逆に可動域が狭まってよろしくありません。
マウスピース治療もあり、咬合負荷の軽減という点では有効ですが、基本的には以下で説明するIIIbへの進行を遅らせる程度のものと考えるのが良いでしょう。
IIIb型(非復位性顎関節円板障害)
これまで顎を開け閉めする時に「コリッ」という音(クリッキング)があった人で、口が開かなくなった人がこちらにあてはまります。
痛みや生活に支障をきたすほどの開口障害(口が少ししか開かない)がなければ経過観察で問題ありません。
痛みがある時は鎮痛薬を用います。
開口障害があれば口が開くようになるためのリハビリテーションなどを行います。
マウスピースで口が開くようになった状態を維持するのも有効です。
IV型(変形性顎関節炎版障害)
顎関節の骨が変形することにより、顎を動かすたびに「ジャリジャリ」などという雑音がすること(クレピタス)が代表的な症状です。
基本的に他の顎関節症と治療は同じですが、噛み合わせの変形なども生じるため、ひどい場合は詰め物や被せ物を作り替える必要が出てきます。
V型(その他)
明らかではない原因によって顎関節症に類似した症状が生じるものを言います。患者さんは顎関節に不調を感じるのですが、顎関節には原因がないためCTやMRIでも異常はなく、いろいろな顎関節の治療をしても何も変化がありません。
口腔以外が原因のため、医科(内科や外科、精神科など)での治療が必要な場合もあります。