箕面市の歯医者|徳岡デンタルクリニック

外院バス停前にある歯科医院元気になる入れ歯を作ります。訪問診療致します。口腔外科、小児歯科、マウスピース矯正、インプラント、歯周病治療、歯科検診、予防歯科

Think White.

歯ブラシ一本でできるロマン主義

 歯科というのは、人間教育ということが中心になる診療科です。意外でしょう。

 お医者さんが、心臓は毎日メンテナンスが必要などとはいわないでしょう。せいぜい休肝日をというくらいです。それには、努力や修練は必要としません。

 一方、お口のメンテナンスと正面から向き合わないとどうなるのでしょう。人は生まれてから亡くなるまでずっとお口をメンテナンスしないと、確実に虫歯と歯槽膿漏になり、誤嚥性肺炎まで引き起こします。自力と他力のメンテナンスが必要で、その指導に当たるのが歯医者さんや歯科衛生士なのです。

 日本人の歯周病罹患率はおよそ80%とされており、裏をかえせば80%の人が歯ブラシを使いこなせていないということを表しています。このことは、お口のメンテナンスが大変困難である事を示しています。ブラッシング指導を受けて、ブラッシングをマスターすることは人間形成に欠かせないものなのです。

 よく"予防"という言葉を使いますが、お口のメンテナンスは、予防ではなく"予防を越えたメンテナンス"といってもいいのです。虫歯、歯槽膿漏、誤嚥性肺炎はメンテナンスを失敗した結果なのです。人として生まれた以上、歯ブラシの仕方をマスターするのに努力と修練を行うのは当たり前なのです。できない人は修行が足りないのです。

 ゲーテの 「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」は教養小説として広く受け入れられています。教養小説とは 自己形成小説とも訳されるBildungsroman(ビルドゥングスロマーン)のことです。教養小説の代表格がトーマス・マンの「魔の山」です。最近の映画にハンス・カストルプなる人物が出てきているそうですが、彼は小説「魔の山」の主人公です。

 先に、人間形成を手助けする過程の一つがブラッシング指導ということをいいましたが、自分で進んで行うもので、誰も代わりにするわけに生きません。ブラッシング指導というのは人間の自己形成を助ける行為という意味で自己形成小説に匹敵するものです。

 歯科のブラッシングという行為は、"歯ブラシ一本でできるロマン主義"なのです。