永遠の故郷:吉田秀和
昨年5月になくなられた音楽評論家の吉田秀和氏はNHK-FM放送で「名曲の楽しみ」というクラシック音楽のDJを長きにわたり担当されていました。その氏が最後に出版された本のタイトルが「永遠の故郷」です。この本は4部作で、「夜」「薄明」「真昼」「夕映」から構成されています。
4つのタイトルは、人の一生を現しており、人は元々永遠の故郷に住んでいたが、夜にこの世に生まれてきて、最後は夕映えの中に悟りを開き、またもとの永遠の故郷に帰って逝く。これはロマン主義です。
歯のメンテナンスも同じで、生まれてくれば母親にガーゼで拭いてもらう。歯が生えてきてしばらくすると自分で歯も磨くが、やはり母親にチェックして磨いてもらう。歯がすべて大人の歯になると自分の力で磨きだし、老人になると夕映えの中で歯磨きの意義をも悟り、また永遠の故郷に帰っていく。それがロマン主義。その、手助けをするのが歯科というわけです。
歯のメンテナンスは一生つづけていくもの。
メンテナンスができてこそ、一人前の人となる。
その手助けをするのが、家族と歯医者。
もし失敗すれば、虫歯と歯周病になる。
歯科というのは、病気の時に見てもらうだけのものではないのです。
歯ブラシ指導を通じて、ブラッシング法という教養を身につけてもらうのが歯科です。小説ではありませんがBildungsroman(ビルドゥングスロマーン)といえるのではないでしょうか。