箕面市の歯医者|徳岡デンタルクリニック

外院バス停前にある歯科医院元気になる入れ歯を作ります。訪問診療致します。口腔外科、小児歯科、マウスピース矯正、インプラント、歯周病治療、歯科検診、予防歯科

Think White.

親ばか子ばか

 この世の人、親ばかといって自分の子供は賢くおもえるものですが、反対に親がえらいと思っている子ばかの話を一席。

 ストレスという言葉、今はみんな知っている言葉ですが、セリエ先生がストレス理論というのをを提唱したときは、言葉としてもまだなじみのない分野の学問でした。院長の父は、眼科医をしており、阪大の恩師の指示でストレスの研究を始めました。ウサギにアドレナリンを注射してストレスを与え続けどう変化するかという実験です。注射し続けてから数ヶ月後に"中心性網膜炎"が起こってきました。当時、中心性網膜炎の原因については細菌説、ウイルス説などの諸説が有りましたが、この実験によりストレスで起こることが証明されたのです。その、実験を続けていくと、あるとき、血管のなかにガスが噴き出してくるのを見つけました。それを調べたくても研究予算がない。噴き出してくるガスに関しては二酸化炭素CO2かアンモニアNH4だろうと推測しただけで、その解析は泣く泣くあきらめざるをえなかったそうです。当時、学生運動で大学は機能麻痺し、研究どころでは無くなり、1967年に、父は大学をやめました。よほど、そのことが気になっていたのでしょう、野球選手の張本が巨人軍に移籍し、中心性網膜炎にかかったというニュースが流れたとき、 その話をしてくれました。

 1998年になって、ノーベル生理学・医学賞の発表を聞いてびっくりしました。なんと、一酸化窒素NOと一酸化炭素COとが気体の神経伝達物質である事を突き止めたことが受賞対象だったのです。しかもNOやCOは、血管内皮細胞に多く存在するとされていたので血管からガスとして発生してもおかしくありません。父がストレスを与え続けてウサギの眼底の血管内に認めたガスがCOやNOであるかどうかはまだ、誰も証明していないでしょうがその可能性は限りなく高いのです。さらに追求すれば他の発見がある可能性もあります。

 その対象となった、フェリド・ムラド、ロバート・ファーチゴット、ルイ・イグナロの研究は1980年以降であり、父の発見の10年以上も後からの研究です。 父が、充分な研究費をもらい、ウサギの眼底の血管中に発生するガスを追求できたなら、そのガスがCOとNOであると分析できていた可能性は充分にあったわけで残念なことです。父が研究をしていた大阪市大は学生運動が過激だった大学として有名であり、父が、病院にまで押しかけて暴力をふるう非常識な学生の対処に追われていたことはつくづく不幸なことであったのです。

 院長が歯科医になったとき、顎関節症の研究が花盛りでした。顎関節症はストレスで起こるともいわれてました。もし、それならアドレナリン、ノルアドレナリンを注射すれば動物に顎関節症を起こせるはずです。動物の顎関節症を見たことがありませんので、そういった研究はしなかったのですが、褐色細胞腫(Pheochromocytoma)という病気ではアドレナリン、ノルアドレナリンが過剰に産生されます。その病気と顎関節症に関して文献的に調べられば何か出てくるかなとおもって、少しだけ調べてみましたが顎関節症は出てきませんでした。顎関節症がストレスで直接的に起こるということに疑問を持った次第です。顎関節症は、どちらかというと、物理的、形態機能的に起こるのではと思っています。