静脈内鎮静について|箕面市外院の歯科医院|徳岡デンタルクリニック
Yahoo! ニュースで大腸カメラを「意識がある状態」と「眠った状態」で受けることのメリット・デメリットという記事を読みました。少し話が違いますけれども、私(副院長)は数年前に日帰り静脈内鎮静での胃カメラを受けました。本当にぐっすりで処置中のことは何も覚えていません。痛みや不安感なく受けられるので、私は鎮静での大腸カメラをお勧めします。
処置後はベッドでだいぶ寝てから帰りましたが、眠気が抜けきらず、テイクアウトしたハンバーガーを店内で食べる、改札にクレジットカードをタッチと奇行をやらかしまして、そちらのほうを気まずく覚えているぐらいです。
歯科でも静脈内鎮静が受けられます。
智歯抜歯、嚢胞や良性腫瘍の摘出、インプラント埋入といった恐怖感のある口腔外科処置には特に適しています。また、費用面につきましても保険適応でそこまで高くはありません(インプラント埋入など自費処置は対象外です)
私の所属している大阪公立大学病院の口腔外科でも、頻繁に静脈内鎮静での外科処置を実施していて、患者さんからは「怖くなかった」「全然覚えていません」と好評でした(現在は処置枠が不足しているために鎮静を実施していません)。
歯科の静脈内鎮静の利点は以下にまとめられます。
・恐怖や不安がなく治療を受けられる。
・嘔吐反射による吐き気を感じづらくなる。
・健忘効果により、歯科治療の嫌な記憶が残らない。
・血圧などが安定するため心臓などへの負担が少ない。
・恐怖や嘔吐による体の動きが少なくなるため、より精度の良い治療ができる。
さて、我々はよく便宜的に「全身麻酔は意識を失います、静脈内鎮静は意識はありますが『うとうと眠くなる』処置です」などと説明します。
「眠くなる」と言えば軽くは聞こえますが、やはり呼吸状態が悪くなる方や、脱抑制による興奮状態になる方がおられます。
全国の大学病院等77施設に対して歯科麻酔科学会が行ったアンケートでは呼吸抑制および舌根沈下が 37 施設、呼吸停止が8施設、心停止が4施設あったそうです。
私も舌根沈下を経験したことがありますが、外科処置と呼吸管理を一人で実施するのは困難であろうとの感想を持っています(患者さんからは「よく眠れました」との感想をいただきましたが)。
歯科麻酔科学会のステートメントにもあるとおり、安全を期するためにも一人で鎮静と歯科治療を同時にやるのは避けた方がよく、鎮静担当と処置担当の歯科医師を分けて実施するのがベターです。
残念ながら当院ではまだ機械を導入しておりませんので鎮静処置は実施しておりませんが(人的には実施は十分に可能のため導入を検討しています)、必要時は保険で鎮静を受けられる病院(ただしインプラントなど自費処置は除きます)をご紹介します。
鎮静抜歯の流れ(一例)
1. 静脈路確保2. 鎮静剤投与
3. 局所麻酔
4. 抜歯
5. 覚醒を待って病室への帰室あるいは帰宅
参考文献
・日本歯科麻酔学会:歯科診療における静脈内鎮静法ガイドライン(第二版)・日本歯科麻酔学会:静脈内鎮静法実施について
・Yamaguchi-Komeyama K, Tanoue N, Kurata S, Ayuse T. Dental treatment under intravenous sedation prolongs longevity of a fixed prosthesis in patients with intellectual disabilities. Spec Care Dentist. 2022;42(3):209-215. doi:10.1111/scd.12677
文責 徳岡勲:副院長・口腔外科認定医
2026年03月03日 17:50

