箕面市の歯医者|徳岡デンタルクリニック

外院バス停前にある歯科医院元気になる入れ歯を作ります。訪問診療致します。口腔外科、小児歯科、マウスピース矯正、インプラント、歯周病治療、歯科検診、予防歯科

徳岡デンタルクリニックからのお知らせ

歯周病とキーストーン病原体

「レッド・コンプレックス」に所属する三つの菌について書きましたので、今回は「キーストーン病原体」について書いていきましょう。

 キーストーン病原体とは、ごく少量が存在するだけでも、他の微生物を巻き込んで病気を引き起こす微生物を言います。

 普通の病原体は人体や食べ物の中で大量に増殖しないと病気を引き起こしません。
 例えば致死的な食中毒を起こす菌として有名なボツリヌス菌はたいへん強靭で、茹でるぐらいでは死なず、消毒薬もほとんどは効き目がありません。この菌は蜂蜜やソーセージなどに潜んでいるのですが、我々はボツリヌス菌が生息しているはずのハチミツやソーセージを食べても中毒を起こすことはありません。これはボツリヌス菌が増殖するより早く周囲の大腸菌が始末してくれるからです。
 一方、大腸菌がほとんど腸内に生息していない乳児では、思うがままにボツリヌス菌が増殖して猛毒を分泌するため悲惨な事になります。

 一方で歯周病のレッドコンプレックスこと原因御三家は歯周病の部位からそれほど多量には見つかりません。これは普通の病原体と大きく異なるところです。
 ネズミを使った実験ではジンジバリス菌が全菌量の0.01%未満でも歯周炎が起こったほどで、その数は歯周病の有無に関係しないのです。
 では彼らがどのように歯周病を引き起こすのかというと、なんらかの方法(おおむねトリプシン様酵素のようですが)で免疫を細菌の都合の良いように活性化したり抑制したりすることで、周囲の菌を活性化し歯周病を引き起こしているようです

 次の図はキーストーン病原体の概念を提唱したペンシルバニア大学のハジシェンガリス博士らの論文にあった、ジンジバリス菌が如何にして歯周病を引き起こすかを解説図を翻訳、改変したものです。
 まずジンジバリス菌(Pg菌)は炎症を起こすタイプの免疫物質を活性化します。すると免疫のバランスが崩れ、周囲の菌は免疫による抑制を解かれて暴れ始めます。
 また、炎症により歯周組織が壊れるとそれは細菌の栄養となり、歯槽骨が吸収・破壊されるとそこは細菌の新たな棲家となります。
 暴れ始めていた細菌の群れは食住を満たされて、そこで旺盛に繁殖しますが、すると免疫が活性化して炎症が引き起こされてしまいます。

 ジンジバリス菌をきっかけに、炎症、組織の破壊、他種の細菌の繁殖、このサイクルが局所的に延々と繰り返され続けることで歯周病はどんどん悪化します。
キーストーン病原体のメカニズム

  意外なところで大腸癌のキーストーン病原体として注目されている歯周病菌もいます。
 それはフゾバクテリウム・ヌクレアタム菌という、例えばジンジバリス菌と比べれば時に20倍近い長さを誇る、たいへん長い針のような見た目の菌です。
 この菌は新しいプラーク(歯垢)にはあまり生息しておらず、歯磨きをしないで放置されたプラークによく住み着いています。本菌が単体で大きな悪さをするとはあまり聞かないですが、表面に他の菌を吸着させたがるという変わった癖を持ち、放っておくと長い本菌の周りに丸い菌が大勢引っ付きまるでトウモロコシみたいな見た目になります。
 こうやって他の菌にとっての足場となってやる大変親切な菌なのです。もちろん、人間にとっては歯や歯周病の周りに足場を作られては困りますので、このヌクレアタム菌が活躍する前に歯磨きをする必要があります。

 さてこの口腔細菌たちにとっては親切なヌクレアタム菌ですが、我々人間にとっては聞き捨てならないことに、大腸癌と密接に関わるのではないかという研究結果が発表されました。
 ハーバード大学のブルマン博士らの研究によるとヌクレアタム菌は大腸癌の原発病巣のみならず転移病巣からも見出されました。
 このヌクレアタム菌のいる腫瘍をネズミに移植しても菌は生息を続け、抗生物質を投与するとヌクレアタム菌が減少するとともに腫瘍の増殖も遅れるという実験結果も出たということです。すなわち、ヌクレアタム菌は大腸癌に偶然居合わせたのではなく、大腸癌に住み着いているどころかこれを引き起こした可能性があるわけです。
 今のところヌクレアタム菌がどのように大腸癌を起こしているのかは分かっていませんが、それさえわかれば大腸癌を薬で予防することができるかもしれません。


 すごい酵素を持っている、免疫を回避する、大腸癌を引き起こすかもしれないなどと書きましたので、たかが歯周病菌のくせになんでこんなに強いんだと思われるでしょう。
 虫歯やら歯周病やら口内炎やらに苦しんでいる我々からするとあまりそうは思えませんが、実は口の中は細菌にとってかなり過酷な環境なのです。
 ちゃんと歯や歯茎、舌に固着しておかないと、飲み物や食べ物、唾液に押し流されてしまいます。唾液は1日に1.5リットルも出てくるため、食べかすや細菌を胃の方へ押し流してしまう作用が強いのです。
 唾液には様々な抗菌物質が含まれていて、細菌を溶かしたり、細菌を動けなくしたり、栄養を奪ったり、白血球のための目印になったりと様々な方法で細菌を排除します。
 歯肉ポケットと呼ばれる、歯と歯茎の間にある溝からは歯肉溝滲出液という液体が湧き出ています。ここにも唾液と同じく様々な抗菌因子が入っていて、さらにはマクロファージのような白血球、特定の歯周病菌に向けてカスタマイズされた特異抗体が含まれています。
 こういった過酷な環境に対応して生き延びてきたのが彼ら歯周病菌を含む口腔内細菌です。

 こんなに強い口腔内細菌を表立って暴れないように抑え付けているものこそが、現代日本の豊かさです。
 第一次大戦中のヨーロッパでは兵士の間で痛みや疲労を伴う「塹壕口内炎」が流行しました。戦後まもない頃の日本では「水癌」と呼ばれる致死的な口内炎も見られました。
 ひとたび隙を見せれば牙を剥く口腔内細菌たちについて、「歯磨きしないと歯が抜けてしまいますよ」「もしかしたら大腸癌と関係あるかも」と悠長なことを言える現代は極めて幸福な時代なのです。

参考文献
『The Keystone Pathogen Hypothesis』
    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3498498/

『Analysis of Fusobacterium persistence and antibiotic response in colorectal cancer』
    http://science.sciencemag.org/content/358/6369/1443
2019年03月31日 20:13

歯周病のレッドコンプレックス

  近頃は口腔内細菌の研究が流行りのようです。
 以前はそれこそ微生物の研究者でもない限り、口腔内細菌は「虫歯のミュータンス菌」と「歯周病の歯周病菌」ぐらいの区分で済ませていましたが、研究が進んできて歯周病菌にも、通常はおとなしいもの、大暴れするだけのもの、他の菌も誘って暴れるもの、隙あらば全身へ行こうと機会をうかがっているものと、悪さの程度にも大きな差があることがわかってきました。
そこで「歯周病のレッド・コンプレックス」や「キーストーン病原体」といった概念が提唱されるようになってきました。
 書くべきことは数多ありますが、まずは「レッド・コンプレックス」こと歯周病の原因御三家の三つの菌、タンネレラ・フォーサイシア、トレポネーマ・デンティコーラ、ポルフィロモナス・ジンジバリスについて書いていきましょう。

 これらの菌は人間の消化酵素トリプシンによく似た酵素(トリプシン様酵素)を分泌する能力を持つのが共通の特徴です。
 人間は食べ物に対して腸でトリプシンという酵素をふりかけ、吸収しやすいようにバラバラに分解しています。これらの菌も同様の目的、つまり人間の組織を食べるためにこのトリプシン様酵素を分泌するわけですが、こんな消化酵素じみたものをいきなりぶつけられた歯周組織やその細胞はひとたまりもありません。しかも、菌はこの酵素を護身用に使ったりもしており、なかなか一筋縄ではいかない性質を持っているのです。

 まずタンネレラ・フォーサイシア
 顕微鏡での見た目はなにやらひょろ長い棒切れのような趣で、空気に触れるとたちまちダメになる(フォーサイシア菌に限らず歯周病菌というのはたいがいが嫌気性、つまり酸素をたいへん嫌っているのですが)弱々しい奴です。しかも環境や栄養に敏感で、フゾバクテリウム・ヌクレアタム菌という大きな棒切れみたいな菌と一緒でないと育たないなど、わりと気弱で繊細な性格の持ち主のように思われます。
 ところがこの弱々しい菌、口の中に入るとふてぶてしくもトリプシン様酵素の他にもPrtH、S-layer、BspA、ヘマグルチニン、アポトーシス・インデューシングアクティビティなどなど、なにやら胡乱な名前の物質を持ち出して盛んに歯周病を引き起こします。
 とくにPrtHはトリプシン様酵素でより簡単に人間の組織を消化しやすくするため、人間の細胞同士のつなぎ目をバラバラにできるのです。
 フォーサイシア菌はこうやって食事をとっていますが、組織を消化していると炎症により血が出てきます。これもなかなかのご馳走らしくPrtHで赤血球を壊し、零れ出た栄養を吸収してしまいます。

 次にトレポネーマ・デンティコーラです。顕微鏡でもの見た目は螺旋状で、なんとなくマカロニのフジッリに見えないこともありません。フジッリと異なって美味しそうではないですが。なかなか気骨のある奴で、他の菌は流れに身を任せて漂揺としていますが、デンティコーラ菌は右へ左へとたいへん忙しそうに動き回っています。
 このデンティコーラ菌はいろいろなものと良く引っ付く性質があり、他の細菌に引っ付き便乗して悪さをしたり、歯周組織へ引っ付いて腰を落ち着けてから食事をしたりします。
 そんなデンティコーラ菌の用意している武器はMspやデンティリジンです。
 Mspはデンティコーラ菌がいろいろなものに腰を落ち着けるときに使うタンパク質ですが、歯周組織を破壊する作用をも持ちます。
 もう一方のデンティリジンは例のトリプシン様酵素ですが、この酵素は消化以外にも、炎症を引き起こして血などが出やすいように細工しつつ、免疫は菌自身のところへ来ないようにするというたいへん器用な芸当を行います。
 通常、組織を痛めつけると白血球がサイトカインと呼ばれる物質を分泌して炎症を起こします。サイトカインとは白血球による「敵が侵入したぞ」という警報で、サイトカインによって白血球が集まって来たり、血管にある白血球や栄養の出入り口が広がって白血球が血管外へと出動しやすくなったりします。
 デンティコーラ菌は血管の出入り口から滲み出てくる栄養が好物なので、わざわざサイトカインが出るようにデンティリジンで白血球を刺激します。しかし、自分が白血球に食べられては困りますから、自身の周りのサイトカインはデンティリジンで念入りに分解して白血球の監視の目をくぐり抜けてしまいます。
 このように免疫の目をくぐり抜けることを覚えているデンティコーラ菌はさらに食事しやすいところを求めて、心臓冠動脈や大動脈の動脈硬化部位に住み着くことがあります。ただ住んでいるだけなら許さないでもないですが、ここでも相変わらずデンティリジンを放出して炎症を引き起こしているようで、動脈硬化を悪化させるとの研究結果もあります。住み着いている確率は歯周病の具合によって異なりますが、歯周病がほとんどない人でも10%、歯周病の重い人では30%近くの人で検出されたというデータもあります。

 最後にポルフィロモナス・ジンジバリスです。
 顕微鏡での見た目は丸っこくかわいらしい奴ですが、血液寒天培地の上に乗せてやるとたちまちその凶悪な本性を露わにし、いかにも毒々しい真っ黒な見た目の塊を作ります。
 このとき何をしているかと申しますと、赤血球を血球凝集素で捕まえ、ジンジパインというトリプシン様酵素で赤血球を溶かしてその中身を啜っています。この菌はヘモグロビンと結合すると黒くなるタンパク質を体表に持っていますので、啜れば啜るほど黒くなるというわけですね。
 さて、このジンジパインは恒例の細胞や組織を消化するという役割の他に、硫化水素(口臭の原因でもあります)を作って周りの細胞を殺す、免疫グロブリンや補体といった免疫物質を真っ二つにしたりサイトカイン産生を阻害して免疫を抑制するなどの役割を持っています。
 とくに免疫系を抑制するのが問題で、ジンジパインのおかげで周囲の菌も人間の免疫を恐れる必要がなくなるため凶暴化するというおまけがついてきます。このためジンジバリス菌は歯周病のキーストーン病原体(少数で無害菌を病原菌に転換することができる菌のこと)とも呼ばれます。
 ジンジバリス菌はこのうえ、このジンジパインやその他毒素を中に満載した膜小胞というものを作り人間の細胞に注入したり、莢膜という白血球対策の隠れ蓑や人間の組織中に潜り込んで白血球をやり過ごすという特技まで持っていたりもします。
 ジンジバリス菌は白血球からうまく隠れつつ細胞に毒素を注入して消化するというおそろしい破壊工作員ですが、やはり先ほどのデンティコーラ菌と同様によく動脈硬化部位から見出されます。
 ごく最近になってジンジバリス菌のもつLPSとよばれる物質や酵素がリウマチやアルツハイマー病を引き起こす原因なのではないかとも疑われています。まだそれのメカニズムは研究途上で、もしかすると偶然の一致なのかもしれないという段階のようですが、もしもジンジバリス菌が原因であるならば、歯磨きでリウマチやアルツハイマー病になる確率を下げられるかもしれません。


参考文献
『歯周病原性菌プロテアーゼと歯周炎』
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/perio/50/1/50_1_3/_pdf
『歯周病とジンジパイン』
    https://www.jstage.jst.go.jp/article/fpj/122/1/122_1_37/_pdf/-char/ja
『キーストーン病原体』(natureダイジェスト2014年12月)
    https://www.nature.com/ndigest/journal/v11/n12/pdf/ndigest.2014.141206a.pdf
『口腔微生物学・免疫学 第4版』
2019年03月19日 01:00

なんちゃって歯内療法とはなんぞや

歯の神経を抜く治療、なぜ半数がトラブル?」という記事が読売新聞に掲載されていました。
読売新聞はたまに歯科関係の記事、ただし「そんな雑な理解で新聞に書かないでくれ」とぼやきたくなるような記事が掲載されており、この記事もその一つです。
 記事によると、手術用顕微鏡とラバーダム防湿法を用いるのが歯内療法(歯の根っこ内部の治療のことです)で、用いない治療は「なんちゃって歯内療法」とのこと。
 当院は手術用顕微鏡を用いておりますし、希望があればラバーダム防湿法も行いますので、記事にいう「なんちゃって歯内療法」ではないですが、実際の治療においては顕微鏡やラバーダムを使わない/使えない理由は大いにあるのです。

 まず歯内療法をご紹介しましょう。
 歯の内部に「神経」があることはご存知でしょうが、これを収めている管を根管と言います。歯内療法では神経を抜いて、細菌まみれになった根管を排水管掃除の要領で綺麗にして除菌します。
 この掃除の時はギザギザの針金(先端の直径0.06mmから1.40mmまで様々です)を使って根管を張り付いている細菌ごとガリガリと削ります。
 ちなみに、排水管掃除はハイターやパイプクリーナーのような次亜塩素酸ナトリウムを含んだ洗剤を使うことが多いですが、歯内療法でも歯科用の不純物などの除去された次亜塩素酸ナトリウム溶液などを使ってこそげ落とした根管の屑を洗い流します。

 歯内療法で根管内を無菌状態にしておかないと、菌が繁殖して巣を作り歯槽骨や歯茎に及ぶ炎症が起こるので、それ以外でどんなに良い治療をしても台無しになってしまいます。患者さんはずっと口を開けさせられたまま口の中でごそごそされるのでしんどいのですが、ここが踏ん張りどころです。ちなみに歯科医師も歯内療法をするとけっこう疲れます。
 この歯内療法は難しいものですから、アメリカやヨーロッパでは歯内療法専門医は歯科医師の中でも尊敬されています。一方、日本では手間と時間の割に収入が少ないため、皆その大事さを分かってはいるのですが、どうしても不採算部門として見られています。

 さて、この歯内療法が対手としている根管ですが、直径0.5mm未満と極めて細いもの(最も細い0.06mmの針金すら通らないこともよくあります)やほとんど塞がって見えなくなっている場合が多く、しかも1本の根っこに2本以上の根管があることもざらで、これを全て探し出すのはなかなか時間と手間がかかるものです。

 そこで顕微鏡の出番です。
 当院で使用している手術用顕微鏡は世界的に知られるドイツの光学機器メーカー、カール・ツァイス社のものです。拡大はもちろん視界を明るく照らしてくれるため、根管が見つけやすくなります。
 ただし、顕微鏡といっても細菌を見ることはできませんし、内視鏡のように根管の中に入り込んで隅々まで見渡せるわけではありません。下手な図を描いて見ましたが、直径1mmに満たない根管の入り口からその中を覗き見ようとしているのです。トンネルのカーブの先を見通すことはできないのと同様、根管のカーブの先も見通すことはできません。
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  根管はたいへん複雑な形をしている場合が多く、例えば下の写真は根管を黒く染め出して示していますが、このように枝分かれした根管では顕微鏡を用いようが肉眼で治療しようが、いずれにせよ完璧な除菌をするにはなんども歯内治療を行って消毒薬を通し、人間と細菌の我慢比べに持ち込むしかありません。
 ですから、歯内療法では顕微鏡が重要なのは確かですが、顕微鏡があればなんでも見えるというわけではありません。
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  私は日本歯科放射線学会の専門医で、日本における歯科用レントゲンのトップメーカー朝日レントゲン工業とCT装置を共同開発した身でありますから手前味噌かもしれませんが、やはり歯の中を見ることにかけてCT装置の右に出るものはありません。
 根管の奥行きや曲がり具合といった三次元的な形を掴むのはCT装置にしかできない芸当です。
 歯内療法の際はCT装置で根管の形状を予め確認しておくことが、治療の成功率を上げる一番の方法と私は考えています。

 次はラバーダム防湿法についてです。
 どういうものかご存じない方が多いでしょうから簡単に解説しましょう。
患者さんは小さな穴の空いたゴム製の大きなマスクをつけていただきます。この穴を治療中の歯にはめてあげると、口の中と歯がゴムで隔てられ、細菌を含んだ唾が治療中の歯にかかったりすることがなくなるという治療法です。
 記事によると「装着の手間がかかるので、ラバーダムなしで治療が行われていることが少なくないそうです」とのことですが、装着の手間などほとんどありません。5分もあれば十分装着できてしまいますし、むしろラバーダム防湿法は歯科医師としてはなるべくやりたいぐらいのもの。
 ラバーダムをすると歯の中に唾が入らない、間違って道具や薬を落としても患者さんに飲み込ませる心配がない、治療中の歯がよく見えるようになるなど、歯科医師からすれば治療がたいへん楽になるのです。
 一方の患者さんは治療の間中ずっとゴムの匂いを嗅がされ続けることになります。唾もゴムの味になります。口は完全にゴムで塞がれるので息苦しいですし、唾をバキュームで吸えないため患者さんが飲み込まない限りは溜まりっぱなしとなります。
 「苦しいし臭いのでいやだ」という患者さんが多いため、歯科医師はラバーダムをした方が楽だとは思いつつこれをお勧めしていないのです。

 それでもラバーダムを希望される方はいらっしゃるかと思いますが、もちろんラバーダムをつけられない場合があります。
 鼻で呼吸ができない方や、鼻炎などで鼻がつまっている方は窒息してしまうため絶対に使えません。
 全身疾患や麻酔薬アレルギーなどをお持ちの方は、ラバーダムをすると具合が悪くなっても声を出せませんし、こちらからも唇や顔の色で異変を察知することができなくなるため、ラバーダムはお勧めしません。
 治療対象の歯が完全にダメになって根っこしか残っていない場合はラバーダムの金具をかける場所がありませんので、これも通常のラバーダム防湿法は不可能です。この場合は隔壁形成法という特殊な方法でラバーダムをかけることができますが、かなりのコストと時間がかかります(自費診療です)。

 記事については色々と書きましたが、当院は顕微鏡やラバーダム防湿法を用いた歯内療法を行なっておりますので、希望される方はぜひお問い合わせください。
2019年03月05日 19:14

さらなる感染予防のための口腔外バキューム

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口腔外バキュームをチェアーごとに設置しました。これで、切削片や唾液などの飛散が最小限に抑えられます。装置稼働中は吸引音がしますが、高度感染予防のためですのでど了承ください。
 文献上でその効果は、歯科医師と患者の位置では76%以上、補助者の位置でも65%以上除去できるようです。
2016年08月27日 15:18

歯科用手術顕微鏡(マイクロサージェリー)

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当院には、光学機器で定評の有るカールツァイス社の手術顕微鏡が有ります。これを使って、CT撮影後の根管治療を行うことで、より精度の高い歯内療法(歯の根っこの治療)を行うことができます。高額な装置ですが、この4月から保険適用になりました。

 


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2016年04月25日 17:16

ヒールオゾン

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ヒールオゾンは、オゾンガスの強力な殺菌作用で虫歯菌を短時間で殺菌します。その効果は強力な酸化作用によるものです。

ヒールオゾンを作用させた後で、フッ素塗布を行ってフッ素を患部に浸透させることにより、
カルシウムによる歯の再石灰化を促進して虫歯を治療するというオゾン治療システムです。

抗生剤で殺菌する3-Mix法と比べ、オゾンで酸化(燃やして無害な酸化物にする)することで作用するため下記の効果出来ます。

・短時間(1分以内)で殺菌できて残留抗生剤がない
・酸を酸化物にしてpHを中和し歯質の脱灰を防ぐ
・エネルギー源であるクエン酸等も酸化物に分解して虫歯菌の栄養源を絶つ
・小さな虫歯は穴を開けずに殺菌できる
・ヒールオゾンはすぐに詰めることが可能

3-Mix法より優れていると思います。

今までの治療は取り残しを防ぐ為に、健全歯質も削っていた為に削除量が多く、麻酔が必ず必要でした。
ヒールオゾンを使うと、歯を削る量が少なくてすみ、当院では麻酔注射の回数がぐっと減りました。
安全を確保する為、ヒールオゾンは、真空状態にならないとオゾンが発生しない構造になっており、オゾンガスが漏れない仕組みになっています。2006年時点で全世界で約3000台販売されているが、副作用は報告されていません。
2016年04月25日 17:13

ダイアグノデント

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ダイアグノデントは、半導体レーザーを歯面に当てることで、虫歯による歯質変化を早期の段階で認識して数値化することにより、虫歯の程度が把握できる診断機器です。
当院では、ダイアグノデントを虫歯の診断に用いて、虫歯のみをピンポイントで切削して治療します。ヒールオゾンと併用すれば、ほとんどの症例が麻酔なしで治療できます。


また、深さが2mm以下の小さな虫歯はヒールオゾンとの併用により歯を削らずに予防措置と経過観察で対処します。
2016年04月25日 17:11

歯科用レーザー

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当院では、信頼できる一流メーカーであるPANASONIC製の炭酸ガスレーザーを使用しています。
口腔内軟組織の切開・止血・凝固および蒸散の効能効果を利用することによって、ほとんど傷みを感じることなく歯周病治療、軟組織治療が行えます

レーザーの禁忌は、特にありませんが、口腔粘膜に発生する白斑を主徴とした異角化症(白斑症)や原因不明の腫瘍や潰瘍(悪性黒色腫・無色素性悪性黒色腫など)はレーザ照射する前に確定診断が必要です。
併用禁忌については、特に心臓ペースメーカー使用患者の場合、患者に異常がないか常に監視しながら慎重に使用する必要があります。
2016年04月25日 17:09

パノラマ断層撮影装置(AZ3000)

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パノラマ断層撮影装置は、一回の撮影で全部の歯の診断、顎関節、上顎洞等の診断が可能です。
当院では院長が大阪大学在籍時にIADMFR(国際歯顎顔面放射線学会:米国サンアントニオ市開催)にて会長賞を受賞したパノラマ撮影理論に基づいて、朝日レントゲン工業と共同開発したAZ3000を使用しています。


この装置で撮影した画像は、歯周病、虫歯、顎関節症、上顎洞炎、唾石症等の診断に有効です。
現在は、歯科用CTを開発して使用している為に、断層機能を使う機会が減ってきました。
パノラマ撮影機能は現在でも最高クラスの性能を誇ります。
 
2016年04月25日 17:07

パノラマCT撮影装置(PSR9000N)

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歯科用CTは医科用CTより少ない被曝線量で歯と顎骨がより細かく診断でき、インプラントの術前診断、歯周病の歯槽骨の状態把握、難治性根管治療の際の歯の根管の3次元的把握、埋伏歯の位置関係の把握に有効です。

インプラント治療の際、当院では顎骨の状態を把握してからインプラントの設計を行う為に必ず歯科用CT装置で診断します。

歯科用CTは、「より安心、安全、確実」なインプラント治療の為には必須の装置といえます。


当院で使用している装置は、院長が朝日レントゲン工業と共同開発したPSR9000Nです。
この装置の特徴は、治療に必要な小さな部位だけを撮影できるZoomCT(小照射野CT)であることです。
さらに、院長が特許を持つパノラマCT理論に基づく撮影軌道を持ち、ZoomCTの特徴を保ちつつ顎の形に合わせて撮影を行うパノラマCT撮影で顎全体の撮影を行う為に、総合的に被曝線量が少なくなっています。

同じ歯科用CTでも、大照射野のもの(3次元画像で頭蓋骨の画像を映すもの)があり、こちらは目の領域まで撮影領域を含むものもあり、医科用CTと比較しても被曝線量が減らない機種もあります。

歯科では被曝の観点から小照射野のもの(歯の領域のみを映し出すもの)を使うべきと当院では考えています。
2016年04月25日 16:49